ただの読書記録

1日1冊を目標に、本の内容と感想を記録します。

29冊目「バッタを倒しにアフリカへ」

こんばんは。

 

今年、アフリカやインドでバッタが大発生したニュースがありましたね。

そんなバッタを倒しにアフリカへ渡った日本人がいるとのことで興味を持ちました。

f:id:kase15:20200823101531j:plain

 著者である前野氏は、幼少期に「ファーブル昆虫記」に感銘を受け、昆虫学者を志した。子供の頃からの夢は「バッタに食べられたい」。しかし、本人はバッタアレルギーという皮肉。昆虫学者として研究を行っていたが、バッタの研究は社会から必要とされておらず、収入がなかった。そんな時、アフリカでバッタが大量に発生し、農作物を食い荒らし、深刻な飢饉を引き起こしていることを知った。アフリカでバッタの生態を研究し、成果を持って凱旋すれば、日本の研究機関で就職できるかもしれないと考え、単身でアフリカのモーリタニアへ旅立った。

 モーリタニアでの生活は苦難の連続。まず、入国トラブル。危うく日本に送還されるところを研究所の職員に助けてもらう。日本から持ってきた荷物の中で、酒を没収される(賄賂を渡さなかったため)。何とかモーリタニアに到着したが、建国以来最悪の大干ばつでバッタがいない。バッタを捕まえるために1匹当たりの報酬を決めて現地の子供たちに採集を依頼したが、数をごまかされたり、死んだバッタを渡されたり。バッタがいないから代わりにゴミムシダマシの研究を始めたが、ハリネズミに食われる(その後、ハリネズミに愛着が湧いて餌をあげて手懐ける)。そうやって時間を過ごすうちに資金が尽き、日本に一時帰国。自分をプロモーションし、資金を調達し、再びモーリタニアへ。するとアフリカ各地でバッタが大発生。バッタの生態研究を始めたが、サソリに刺されるというアクシデント。無事回復し、バッタを追いかける日々。バッタが街に近づくぎりぎりまで研究を続け、最後は駆除。十分な成果を得て、日本へ凱旋した。

 帰国後は京都大学助教となり、バッタ博士として、高校で講演したり、テレビ出演したり。夢を追うことの大切さを伝えている。

 

[感想]

 面白かったです。著者の情熱に圧倒されますね。「バッタに食べられたい」ってどんな夢だよって、思わず突っ込んでしまいました。アフリカでの生活の描写を見ていると、日本の生活は恵まれているなと感じます。資金が尽きて、どん底にいるときの所長の言葉「つらい時こそ自分よりも恵まれていない人を見て、いかに自分が恵まれているかに感謝する」というのは心に響きました。上ばかり見ていると疲れますからね。