ただの読書記録

1日1冊を目標に、本の内容と感想を記録します。

9冊目「日本企業の勝算」

こんばんは。

 

今日はこちら。

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 日本企業の生産性が低いのは中小企業の定義が小さく、中小企業が多いから。中小企業は人口増加していた時代には雇用を創出することに寄与したが、人口が減少している現在はその在り方を見直す必要がある。

 生産性の高い国には4つの特徴がある。①大企業だけを規制しない、②中小規模の規模の定義が大きい、③中小企業の優遇政策が限定的、④最低賃金が相対的に高い。

 日本のように生産性の低い国は上記の逆。日本では中小企業が優遇する規制が多く存在し、最低賃金が低い。中小企業は優遇されるため、優遇を最大限利用するために企業を大きくしない経営者が多い。また、最低賃金を上げると雇用が減る、企業が潰れる、といった意見もあるがそうではない。最低賃金を上げることにより、①生産性の低い企業が起業しづらくなる、②賃金を支払うために生産性を上げる必要が出てくる、③生産性の低い企業から人が離れる、ということから企業間の競争が生まれ、企業の生産性が上がる。実際にヨーロッパの国々では段階的に賃金を引き上げ、生産性を向上させた。雇用に影響したというデータもない。

 また、企業の生産性は経営者の質にも関係する。日本は中小企業の規模が小さく、中小企業が多いため、経営者になるハードルが低い。結果、能力が低い(ある程度の規模の企業しか管理できない)経営者が増える。

 日本企業の生産性を上げるには、国による企業が最適な規模に成長するための支援が必要。すべての中小企業を支援するのではなく、支援する対象を選ぶべき。例えば、イノベーションを起こす企業、成長している企業、研究活動に熱心な企業など。また、中小企業の優遇措置には期限を設けるべき。いつまでも成長しない/する気のない企業への優遇を継続する必要はない。成長する企業がより成長できる環境を整備すること、増えすぎた中小企業を合併により大きくすることも効果的。企業の数が減れば、相対的に経営者の質が向上する。

 繰り返すが、企業の生産性の向上には、企業規模を大きくすること。そのために、国が企業規模を大きくするための政策を行い、最低賃金を引き上げることが必要。

 

[感想]

 日本の生産性が低い理由、そしてどう改善すべきかを各国とのデータと比較しながらわかりやすくまとめてくれていました。日本は国際競争力は高いのに生産性が低い残念な国のようです。中小企業の生産性を上げるには、最低賃金を上げたい、でも生産性が低いから賃金を上げることができないという悪循環に陥っています。中小企業が多く、ぎりぎりの人員でやっているから有給消化率も悪く、時間外労働も多い、、、いいことないですね。